当店では、ウイスキーの取り扱いはございません。
ご来店の前に、ご了承ください。
ニナ・ハーゲン、私のお気に入りの歌手。特にこの曲はシビれる。この曲のテーマは、「堕胎と出産」である。歌詞には2人の女性が出てくる。マレーネ・ディートリッヒは、一人の娘をもうけたが、離婚。その後、子供を産まなかった。もう一人は、シモーヌ・ド・ボーヴォワールには、子供がいない。2人とも、家庭よりも自身のキャリアを選んだ。この曲を歌うニナ・ハーゲンも、堕胎と出産の経験がある。女性の解放への叫びをこの曲は表現している
有限会社 平野酒店
〒430-0856静岡県浜松市中区中島2-4-1
Tel053-461-2895
配達時間 ;12:00〜15:45
開店時間 ;16:00〜19:30
水曜定休
代表 ; 平野浩司(専門;ドイツワイン)
ワイン一本の平均単価;4,069円
お支払い方法;現金、郵便振込(前払い)
*未成年者には、お酒を販売致しません。
ベーマーマン、ドイツの強烈な風刺で鳴らすコメディアン。いよいよ、ワインを槍玉に上げた。ワインは、教養ある博識そうに見せる最高のトリックである。ワインを好む者は、主に有名人や役職者、ブランドまみれのOLで、匂いを嗅ぎながら、いまいましい言葉を並べ立て、彼らは決して黙って飲むことができない。特に、ドイツのワイン愛好家は、よくゲーテの詩を引用し、ワインを飲むことを正当化する。一方、ビールを飲む者は、酔っぱらおうが、へべれけになろうが、一向に構わない。ビールは、ソーセージで気軽に飲める労働者の酒だ。彼らは、ずる賢くない。その後、畑に撒かれる農薬や、ワインに味付けする酵母や酵素の話、ワインの清澄に使われる動物由来のゼラチン物質の話を持ち出し、ワインは、決して自然の産物ではないこと、ロマンティックでも、文化的でもないことを、いつものベーマーマン節で唱えた。最後に語られたワインの空き瓶の補償金については、考えさせられることもあったが、いずれにしても、上記の添加物のことは食品業界では既知のこと。その中でも、より自然に則して造る生産者を選ぶことを私はお薦めする。
自然派ワイン
これまで私は、何本、味の悪くなったそのSO2無添加ワインを廃棄しただろう。確かに醸造家の中には、SO2無添加のワインを安定させて仕上げる蔵はある。彼らは、ワインに新たな味の幅を示してくれた。しかし、その様なお蔵は限られている。SO2無添加ワインは、日本酒の生酒と似ている。両者とも、口当たりは良いが、冷蔵保存しなければ酒質が安定しない。つまり、未熟な酒である。
21世紀の現代において、100%自然であるワインは、存在しないと私は思う。SO2添加にしても(また、日本酒の火入れにしても)、人が数百年かけてワインを、バクテリアの害から守るために、正しく証明された製法である。そのSO2の部分だけを切り取って、自然を気取るのは的外れだ。目的は、美味しいワインを造ることであって、SO2無添加が目的ではない。
畑って何?
かつて、1971年のドイツワイン法改正時に、およそ30,000の単一畑が統合され、2,658に減少したと言われる。畑の区分けが大まかになることで、同名の畑でも、立地の良い所と悪い所が存在することになる。つまり、同名の畑でも、ワインの質が異なることを意味する。そして、2021年より正式にドイツにワイン新法が導入された。これは、ブルゴーニュ地方に見る様に、テロワールを重視する構造となっている。
しかし、ドイツでは問題点が複数ある。一番、紛らわしいのは、2012年より定義が統一されたVDPグループだけのGroßes Gewächsと、今回の2021年に施行されたVDPグループ以外のGroßes Gewächsが市場に混在してくること。二つめに、この新法の施行に乗じて、従来からある畑にも関わらず、新しい畑名が誕生している(例えば、フランケン地方のWürzburger Stein-Bergなどは、従来あるSteinの畑との明確な区分が明らかでない)。本来、畑の区分けというものは、ワインの個性や品質の違いを区分するものでなくてはならない。ドイツでの畑名が、どれほどの意味を持つのかは、今後のワイン市場で問われることになるだろう。
20周年
2022年は、VDP. Grosses Gewächs誕生から20周年になる。1950年代のドイツワインは、フランスワイン同様に、高額に扱われていた。しかし、1960年代のケレライの台頭、それに伴う、低品質、低価格のワインの増加、1971年のワイン法改正時の畑の統合、1980年代の悪天候による品質の低下、不凍液混入事件などにより、世界におけるドイツワインの地位は低下した。このビデオでは、VDPの有志たちが、1980年代から、ドイツワインの復興に向けての努力と挑戦する経過を見ることが出来る。そこから生まれたものは、単なるボルドーやブルゴーニュの格付けの真似ではなく、ドイツ特有の風土と歴史を反映させた、繊細で精密な格付けである。それは、ドイツワイン生産者自身の運命に責任を果たすという大きな課題でもあった。
お酒は、適量でも体に悪いの?
ドイツ栄養学会(DGE)が、最近「たとえ少量の飲酒でも健康のリスクがある」と発表。ドイツの蔵元たちが、当然反発した。ドイツワイン協会は、栄養学者クラウディア・ハンマー氏を出して、ビデオで反論する。彼女は、「あくまでもワイン業界の立場からではなく、医学的、科学的見地から物申せば」と前置きしてこう語る。適量であれば、心筋梗塞や第二糖尿病のリスクを減らすこと、ワインに含まれるポリフェノールは、コレステロール値を下げ、インスリンの働きを促す働きがある等、従来私たちが耳にしてきた研究結果を述べている。では、なぜ今回DGEは、その適量の飲酒でさえもNGと言ってきたのか。おそらく世界の疾病負荷研究(GBD)の声明に配慮したのではないかと彼女は推測している。そこで、ドイツワイン協会の言い分として、まず彼女は、「ワインは健康に良い、ポリフェノールが入っているから飲むと良いと、言っているのではない」と前置きし、適量とは何かを語る。これは、肝臓が1日に無理なくアルコールを代謝できる量であるとし、健康な成人の場合、女性で1日20gまで、男性で30gまで、ワイングラスで言えば、2〜3杯までが適量となると。しかし、適量を守る以前に、肥満や喫煙などとの関係、つまり、その人の食習慣と生活習慣が大切であると説く。でもこのビデオの中で一番面白く感じたことは、彼女が、「バナナや、ザウワークラウトにも微量なアルコール分が含まれている。(アルコールに適量がないと言うのなら)それらも食べられないのは、悲惨である」と語っている点。どこか、学者らしからぬ、売り言葉に買い言葉、落語の落ちの様で微笑ましい。いずれにしても、酒は「百薬の長」、そう飲兵衛たちは、自分に言い聞かせては、また一杯。良き酒は、良き友かな。
プロヴァインなんて。
毎年春に、デュッセルドルフで行われる世界最大のワインメッセがある。ある自然派ワインの蔵元がそれをブログで批判した。「感情のこもらないワインメッセ。ストレスを貯めたバイヤーと、品質にそぐわない価格で売り込もうとする蔵元。酔っ払いの集まる商業主義と化したこのメッセは没落の道を歩むだろう」と辛口な表現。一方、彼はイタリアの山間で行われた小さなワインメッセを例に挙げこう評している。「のどかな田園風景の中、農村の文化と地元の料理。ワインの分析値など気にせずに、皆がワインを心から楽しみ、語り合っている」と。そして、「ワインを売ることは、そこの生活文化を伝えること」と、ブログを締めくくっている。過去にも別な蔵のこんな文を読んだ。「ワインは、私たちの食生活の多様性と品質を高めるエッセンスである」と。これは、巨大オンラインショップの売り方を批判した後のコメント。
ドイツのピノノアール
最近、こんな記事を見た。フランスのブルゴーニュ地方の蔵元は、畑名のないブルゴーニュ・ルージュをドイツへ輸出したがらないそうである。その理由は、ドイツのピノノアールの品質が向上しているのに加えて、ドイツの酒屋が、その畑名なしのブルゴーニュ・ルージュの価格を下げて売らないからだと言う。つまり、本家のフランスの方が、まずく感じてしまうことを恐れているらしい。確かに、7,000〜8,000円のドイツのピノノアール は、そこそこのブルゴーニュ・プルミエ・クリュ相当の味わいはある。今後の更なるドイツのピノノアールの発展を期待する。
◆コメント;平野浩司(Koji Hirano)
ドイツワインは、もっとクールでリベラルなものです。