• Yoko Yoshimoto

「2018年の収穫日記〜後編」

最終更新: 4月17日



9月17日 収穫17日目

次の日曜日は、暦の上での「立秋」。その日に向かって、夏が、全力でラストスパートをかけているかのように見える。2018年は、高温が続いた!収穫班が8時半にワイン畑に着いた時には、既に20度を記録した。午後には、温度計がもう少しで、30度に届くところだった。

今日も、ブドウのサンプル検査を行った。バランスのとれた熟し方と、素晴らしい健康状態。しかも、そのサンプル検査の数値と、実際のタンクの中の発酵前のモストの数値との差が、2エクスレ以内という、正確な結果となった。このことは、どのワイン畑を、いつ収穫すべきかなど、様々な決定に確信を持つことができる。私たちは、このサンプル検査のおかげで、これまでの仕事の、すべての現象を的中させた。好天と好調な収穫を背景に、私たちは、すべての品質責任に、冷静さと余裕を保つことが出来ている。

今日は、とても気分が良いから、「シャルドネ・デー」としよう。シャルドネは、私たちが、1988年に一番始めに、ラインラント・ファルツ州で、公式に植えたブドウ。私たちの畑の10%が、このシャルドネが栽培されている。今年、その中のいくつかを、接木した。つまり、古い株に、ある他のシャルドネの枝を合わせて縛り、接木をする。先週から、シャルドネを収穫し始め、今日は、すべてのシャルドネの収穫を完了する予定。今年の様な、センセーショナルな完熟年は、めったにない。ただただ、摘み取るのみ!すべてが計画通りに進み、夕方には完了した。

9月18日 収穫18日目

盛夏の気候は、まだ今日も続く。朝8時の時点で既に20度を超えた。そして、午後には30度に達した!収穫班だけが、暑さに悩まされているのではない。ブドウ樹もまた、きっと適度な気温の方がいいと思っているだろう。10日前に降った雨の水分は、土の中には全く残っていないようだ。

昨日、シャルドネの収穫を終えた。これは一体何を意味するのか。まだ、リースリングの収穫が残っているという意味である(辛口と甘口のゲヴュルツトラミナーと、甘口のムスカテラーの収穫を覗いて)。「まだ」と書いたのは、私たちの畑の40%がリースリングであり、つまり、まだ多くの仕事が残っていることになる。この理想的な天候を利用しない手はない。次の畑の収穫を進めていく上で、最後のブドウのサンプル検査をする。ブドウ畑の大半は、望ましい品質まで、後少しのところ。良い天候にも関わらず、先週のエクスレ度の伸びは、1〜2度程度。数値が伸びるのは、理想的な条件の揃った、まさしくその一日に記録されるもの。数値の伸びない理由の一つは、ほぼ例外なく、リースリングの畑の土の特徴にある。石ころが多く、痩せた、温度を保つ土。それは、日に照らされて温められた時、より多くの水分を蒸発させる特徴がある。いずれにせよ、石ころの多い構成ゆえに、排水には優れるが、保水性が低い。

リースリングとエクスレ度の数値との格闘は、すべてのブドウ畑の中で、今年は、最も熾烈であろう。それは、私でなくとも同じこと。ファルツ地域のどの畑でも、もしくは、その他のワイン地域でも、最高品質のリースリングの収穫というものは、手間暇の掛かる業務であることに違いはない。

ゲヴュルツトラミナーにとって、この暑い気候条件は、さほど支障がないように見える。ある畑のものは、100エクスレ以上に達した。甘口のシュペートレーゼにとって理想的な数値だ。リースリングの現状を数値化して見るために、私たちは、一部のブドウ畑のものを摘み取ってみた。その畑は、粘土質だから、酸とpH値が、とても良い。

9月19日 休養日

今日は、最高の天候ではあったが、休養日。しかし、私たちは、その休みを有意義に利用する。今後の仕事の方向性を創造する、語らいの時間に設ける。ケラーでは、最初の赤ワインが、順調な醸し醗酵を終え、搾られた。その後、シャルドネと赤ワインのためのバリック樽を準備した。

9月20日 収穫19日目

立秋の前日。日の光が降り注ぐ夏の日に、暦が秋の訪れを知らせる。私たちは、今日再び、総動員で、リースリングの収穫を行った。

今日の昼食のメニューは、畑でのサンドイッチ。畑で昼食を済ます理由は、ブドウ畑から蔵へ戻る8kmの道のりが、休憩時間を短くしてしまうから。いつもの秋にお目見えする温かいスープは、今の気温では合わないため、まだ出さないでいる。

今晩、とても満足だった。彩色砂岩の畑から、品質の高いブドウが摘み取れたからだ。また、風化スレート岩土壌の畑からも、良い品質が期待できそうだ。そのブドウは、昨年同様に、大きな陶土性の発酵槽で醸す予定。

9月21日 収穫20日目

素晴らしい夏の気候が、どうやら終わりに近づくかもしれない。それが想像できないほど、未だに気温が高いのは確かだ。空も、雲ひとつない晴天だった。しかし、お昼前から雲が立ち込めてきて、午後の始めには、雨粒が少しばかり落ちてきた。

午前中は、小さな区分のリースリングを収穫した。その品質は、私たちの理想を十分に満たしていた。日曜日に予報されている強い雨の前に、それらのブドウを安全なケラーまで運ぶ。

9月22日 休養日

予報通り、灰色の雲、風、そして、少しの雨。下がり始めた気温を考慮して、私たちは、今一度、残りの畑の摘み取りの日を伸ばす事に決めた。

ケラーの中は、仕事が山ほどある。圧搾、バリック樽の準備、そして、その中に、ワインを詰める仕事。その後、その樽を発酵場に運び、積み上げる。退屈であることは、まだ今の私達にはない。

9月23日 休養日

暦の上での「立秋」。そして、今日この日に、おそらく私達の記憶に長く残るであろう、天候の激変があった。台風並みの強風が、ファルツの森から吹き降りてきた。当初、この強い雨は、私たちの上空を通り過ぎていくと考えていた。しかし、雨を伴った強い風は、水平に家屋にぶち当たり、壁や窓を揺らした。まるで古い映画のシーンのように、雨の擬音で、恐ろしい状況を、視聴者に感じさせているかのように。天気概況の雨量の数字が、それほどでない理由は、きっと水が渦を巻いて、すべての雨が雨量計に入っていなかったからだろう。結果、翌日には、その倍の数値が、実際に計測された。

この強風と降雨が、私たちブドウの収穫にどう影響するかは、今のところ分からない。第一、私たちはこの雨量に驚かされた。というのも、それほどの雨が予報されていなかったからだ。でも、突発的な雨ゆえに、また、この長い乾燥が続いたゆえに、おそらく、すべての水が、畑に染み込むことはないだろう。よって、畑の表面の水は、すぐに水が引く。それに、すこぶる良い健康状態のブドウは、それに犯されることはないだろう。前回の雨は、私たちが感じたよりも、大幅にブドウを完熟へと導いた。でも、今回の雨の結果は、明日の状況を見てみないと分からない。

9月24日 休養日

昨日の雨の後では、さすがに収穫しようなどと考えられない。しかし、リースリングの特級畑のエクスレ度は、まだ、目標の領域までは達していない。だから、今日の収穫は休みにした。もう一度、ブドウのサンプル検査をして、最新状況を得るまで待とう。収穫されていないリースリングは、まだ8ha以上ある。総面積のおよそ3分の1だ。

しかし、午後遅くに、残念な結果が出た。ムスカテラーとゲヴュルツトラミナーは、この8日間にエクスレ度がいくらか増加したのに対し、リースリングは、全くストップ!しかも、これまでに、高く安定していた酸の数値も、いくらか減っている。すべてのリースリングの畑で、一週間前に計測したエクスレ度の値より下回った。つまり、それは2週間前のレベルに戻ったことになる!日曜日の強い雨が、その理由なのだろうか、私たちには、まだ分からない。ただ、待ち、祈るしかない。

私たちは、収穫班に、今週は収穫しないことを告げた。私たちにとって大切なのは、平静を保つこと、先週やり残している日課を果たすこと。

9月25日(木)〜30日(日) 休養日

ここ数日の天候は、泰然としている。確かに、涼しくはなった。しかし、ずっと乾燥している。太陽は照り、ほとんどの時間、青空で、雲は少ない。変わったことと言えば、夜の気温だ。一桁になった。そのため、放射冷却が起こった。霜を警戒する必要がある。9月30日の朝の気温は、まだ1,9度あった。私たちは、まず先に、乾燥によって悪くなっているブドウを、取り除くことにした。それらを予め分類しておくことによって、その後に行う、遅摘みブドウの収穫作業が楽になる。要らないブドウを捨て、ブドウ樹の負担を無くす。それにより、ワインの質が高まる。経験値から、ブドウの苦味成分が減り、じっくりと熟成が進む。

金曜日に、もう一度ブドウのサンプル調査を行った。結果は、とても期待できるものであった。エクスレ度は、2018年産のGG(ドイツワインにおける辛口ワイン最高ランク)として、摘み取り可能な数値に達していた。もう1つの特級畑もまた、その域に達していた。

天気予報によると、天気は今後も安定するようなので、月曜日から収穫を始めることを、収穫班に知らせた。さて、どの畑から始めるか?GG用の特級畑からか?今、この日曜日の夕方の時点では、まだその答えが出ない。おそらく、一晩中悩むことになるだろう。それは、単なる、リースリングの収穫ということでなく、私たちにとって、最も大切な「品質」が一番であるから。

10月1日 収穫21日目

早朝に、オーストラリアからの蔵人を、フランクフルト空港まで送る。しかし、まだその時点でも、どこの畑から収穫をするべきかを、確定できないでいた。すべて、私たちの優良なリースリングのワインになる、3つの特級畑だ。若者から、ベテランまでの意見を聞いて、1つの畑に決定した。

リスクを最小限に抑えること。そのためには、サンプル検査の測定数値が、どれほど正しいかが鍵となる。今回の検査には、あまり多くの時間をかけられない。ブドウのサンプル採取は、今年のように乾燥した年は、畑によって数値が大きな差が出る。だから私は、飛行場へ出発する前に、それぞれの収穫班からの、最初のブドウがトラクターに一杯になったらすぐに、蔵に運び、潰し、エクスレ度を測るように伝えた。

10時ちょっと過ぎに、私に最初の知らせが届いた。早速、金曜日の計測値と比べてみた。あまり良い数値ではなかった。でも、畑のどの部分の果汁を搾ったかによって、数値は異なるものである。私は、別の収穫班からの、2回目の知らせを待った。今度は、とても喜ばしいものだった!先週から収穫を待った甲斐があった。2018年産のGGは、これ以上ない品質だ!

しかし、そこまでには、まだ長い道のりがある。今回摘み取る畑の面積は、3,5haと、とても広い。昨年、私たちは、およそ2haの畑を増やした。それは、‘50年代の耕作整理の際に耕した、険しい南向きの急斜面を統合したものだ。私たちは、斜面の一番下(標高220m)から収穫を始めた。そして、少しずつ上へ、天に向かうように、摘み取って行った。そこは、標高320mに位置し、ファルツ地域のVDP(ドイツ高品質ワイン生産者連盟)グループの中で、最も標高の高い特級畑だ。

今日は、まさしく、秋晴れの天気。昨晩から朝にかけては曇っていたので、ここ数日のような、強い冷え込みはなかった。しかし、午後の気温は、15度以下。収穫作業には、少し寒い。しかし、ブドウが一杯入った背負子を背負う男達だけは、寒さ知らず。この畑の伝統は、収穫したすべてのブドウを、背負子に入れて運ぶこと。このような急斜面の畑では、トラクターやトレーラーは入れない。収穫用ケースも、斜面からずり落ちてしまうので、役に立たない。

この重労働の急斜面の収穫の1日が終わった。数十にも及ぶ斜面のブドウの列を、繰り返し往復した。しかし、私たちは、その作業に不満はない。なぜなら、収穫の日を先に延ばしたという、私たちの選択が正しかったと、確信していたから。

10月2日 収穫22日目

昨日の重労働の後の、すぐまた今朝も、私たちはブドウ畑に立っている。天気は、霧のかかった曇空。ブドウ畑の状況は良い。けれど、もう少し品質は良くなるはず。ブドウの樹の紅葉が始まった。それは、植物の成長の停止の準備を意味する。植物が葉を落とす時、内部に必要な果汁の流れを止めたくないので、果実にそれを貯めようとする。熟成という、この生理的な植物の活動は、再び一度呼び起こす、最後の生命力の表現である。

今日、大方の収穫班が、収穫を終えた。機械による収穫は、作業効率を95%上げてくれるという。収穫機械の投入は、それほど効率的ではあるが、ロマンチックな秋の収穫風景を、ブドウ畑から消した。昼も夜も、機械やトラクターのエンジン音が響く。機械は、規定通りに、速く仕事を処理する。平地の畑なら、2時間もかからない。しかし、私たちは、手作業で摘み取り、細かな工程で、ブドウの選別をする。私たちは、それを、2つのチームで、丸1日掛けて行う。手作業の収穫から生まれる品質は、近代的な技術では、再現できない。

今、乾燥によってうまく実らなかったブドウを取る作業をしている。この畑が赤底統と呼ばれる狭い地層が土台となっている理由で、ブドウ樹によって成長の差がある。よって、私たちは収穫の前に、どの通りの、どのブドウから収穫をするべきか、土に印をつける。エクスレ度自体は、ほとんど違わない。しかし、味の違い、酸の数値、そして、最終的な品質において、この手間暇をする価値がある。

今日2日目に収穫した、すべての畑のブドウが、GGにふさわしいエクスレ度に達した。しかし、最終的に、どの区画のブドウが、私たちの理想のワインになるのかは、発酵し終わって、試飲をする春にならないと分からない。いずれにしても、ブドウ樹を正しく選択しながら、収穫したという労力は、必ず報われると信じている。ほんの数日前には、この成果にたどり着くことを、想像していなかった。

昨日は、天候が悪かったために、いつもの畑の脇での昼食が出来なかった。その代わり、収穫班は、蔵の中で、ゆっくりと温かい食事をとることができた。今日は、いつも通りに、畑の脇で食べることができた。しかし、私たちは大きな鉄鍋を持って行って、ワイン畑で、温め直すことをした。

10月3日(水)ドイツ統一の日 収穫23日目

夜は曇り。朝は、湿度があり、霧による小さな水滴が、ブドウ樹一面に付いていた。この状態を見て、畑の収穫をやめようかと、私たちは一度は思った。しかし、その思いはすぐに撤回された。風が吹き、急速に乾いてきたからだ。

昨日の午後の続きの、2,5haの畑の摘み取りに取り掛かる。早めに雲が消えて、再び日が差し始める。晴れてくれれば、気温は上がる。しかし、お昼のテーブルとベンチを用意していた頃、新たに雲が立ち込めてきた。典型的な秋の天気だ。もう、10月になったのだと感じた。温かいスープが、似合う季節となった。食後の仕事に入ると、太陽がまた雲の後ろから出てきた。

この畑の3列の収穫は、考えていたより大変だった。この3日間では、この斜面の畑の収穫は、すべて完了しなかった。

10月4日 収穫24日目

夜は、雲がなく晴れて、再び朝に冷え込んだ。しかし、日中の太陽光が、急速に気温を上げて、快適な収穫の環境を作った。

ブドウ畑の2列は、既に収穫し終えていたので、3列目はとても早く済んだ。よって、昼食前に、別な畑に場所を移した。次の畑は、1週間、摘み取りを延期したことで、理想的な熟し方をしている。この畑は、塩気を感じるミネラルをリースリングに与える。味と熟し方と酸は、土壌でも決まる。

10月5日 収穫25日目

夜の生ぬるい気温は、朝の軽い風と、強い日差しによって消えた。今日も、予報どおり、陽光輝く暖かな日。午後にGG用の最高のリースリングの畑を摘み取るには、絶好の条件だった。

その前に、先に摘み取った別の2つの畑のブドウを、ケラーまで運ぶ。それらの畑は、まだVDPから認定されていない。しかし、来年には確実に、一級畑として、ラベルに表記できるだろう。でも、それまでに、いくつかの書類手続きを踏まなくてはならない。品質的には、一級畑として申し分のないレベルだ。

VDPから認定されている1,2haの特級畑がある。この畑は、他と違って、3年〜60年と、さまざまな樹齢が混ざっている。だから、同じ畑の中でも、品質とエクスレ度に、大きな違いがある。その中の最高の部分は、GG として販売できるレベル。そうでない部分は、その下のランクのワインとなる。

10月6日 収穫26日目

今日も、軽い風と日差しが、夜間の湿度をすぐに乾かしてくれた。天気予報では、来週も安定して、乾燥し暖かい。人というものは、もっと良くなるのではないかと、期待してしまうもの。ところが、そう思った通りにはいかないのが常だ。片や、ブドウの実が熟してきて、片や、ブドウ樹が深く紅葉してきている。これは、これ以上の糖の生産が、光合成からは期待できないことを意味する。私たち収穫班は、収穫の最終日は、いつかを予想し始める。およそ6週間に渡る摘み取り作業を終えれば、収穫班らは皆、故郷に帰る。

しかし、その日までに、いくつかすることがある。私たちにとって、とても重要なこと!2つのGG用のリースリングの収穫を無事終えること。それと、期待出来るムスカテラーとゲヴュルツトラミナーの収穫だ。

昨日の収穫された、2つのGG用のリースリングの結果は、予想していた通り、品質が違った。一つの畑は、目標とした品質水準にまで到達した。若木と古木とが混ざる(最高樹齢58年を含む)畑の方は、摘み取りの結果、まずまずの平均値を得た。予め私たちは、若木と生育の悪いブドウ樹に印をした。そして、印をしていない古木の2列を、分けて摘み取った。午後にエクスレ度を測った結果、12エクスレの違いを確認した。その中で、数値の良いものは、GG用として使えると判断した。

正午までの天気は良かった。でも、昼食後、若木の畑に移動した時、太陽が雲の後ろに隠れた。若木の畑の摘み取りをしてみて、目指していた品質でないことを確認した。若い木は、やはり、この乾燥した夏にうまく成長していなかった。結果はとても不等質。今年は、古木のブドウ畑に重点を置くことにした。

10月7日 収穫27日目

朝の気温は、快適。生ぬるくなく、昨日の乾燥によって、空気と土に湿気を感じない。気温は、22度を超えた。素晴らしい、日の光輝く日曜日。

日曜日だけれど、収穫班全員が畑に入る。というのも、明日が、収穫最終日と決定したから。若い木の畑は、今日の段階でも、まだすべてが期待できる数値に達していない。もう片方の畑では、すべてのブドウ樹を確認し、色でマークを付けた。いくつかのブドウ樹は、年を経ると、真菌性疾患ESCAにかかりやすくなり枯れてしまうので、若い樹を補充する必要がある。今年のような乾燥した年には、古いブドウ樹と若いブドウ樹の熟成に、大きな差が出る。この熟成の違いを確かめて、太さや、色など、すべてのブドウの健康状態をチェックすることは、大切なことである。必要ならば、果実を再びサンプル検査し決定する。

この0,8haのブドウ樹の検査は、いくらか時間を要するので、私達は、別な畑の摘み取りをすることにした。この貝殻石灰岩の畑は、乾燥による被害が少ない。というのも、丘の中腹にあるこの畑は、山頂にある畑よりもより、水分供給に優れているから。ブドウの房は、粒と粒の間に隙間が空いていて、美しい黄金色をしている。食べても、味はとても良い。昼食までに(今日は、畑でグリル)、このブドウ畑を摘み取っている間、検査中の畑の結果が待ち遠しい。果たして、GGとしての品質に達しているかどうか、、、。結果は、早めに出た。エクスレ度が、予想より10度以上高かった。

日曜日の作業が、終わった。皆満足だった。収穫班には、ほぼすべての作業が、完了したという喜びと、また、あさってから、彼らは普段の生活に戻るのだという感慨があった。私たちは、常に選択を繰り返し、また、そのリスクを背負う。その結果、今年の作業すべてが、正しくパーフェクトだったことを確信し、そして、ようやくこれで、少しほっとできる時間が取れることを感じる。

10月8日 収穫28日目

最終日。それにふさわしい素晴らしい天気。収穫班が畑に到着した時には、明け方の湿度は、全く感じられなかった。今日は、特別な雰囲気。収穫の最終日であり、6週間集中したチームの仕事を解散し、その後、ほぼ1年間はしばらく会えないことを感じているから。また、皆で達成したという気持ちも、最終日に共通して持っているもの。

しかし、その前に、もう一仕事。私達は、再びグループに分かれる。1つのグループは、サンプル検査で、評価のやや劣る若木のある畑のブドウを摘み取る。もう1つのグループは、ムスカテラーを摘み取る。ここで、私達はそれぞれに、2つのバケツを用意する。干しぶどう状になったブドウと、そうでないものとを分けるためだ。干しぶどう状になったブドウは、バケツに入れた後、一度平たい板の上に広げて、良いブドウと悪いブドウとを選別する。この手間のかかる仕事を、午後にも行う。もう片方のグループは、昼食前には既に、1947年から続く古いブドウ畑(ゲヴュルツトラミナーを植えてある一級畑)に移動した。壊滅だった2017年のお返しにと、今年は、畑が豊かな実りを与えてくれた。後で、ムスカテラーのブドウの収穫し終えたグループ(今年は、アウスレーゼから、ベーレンアウスレーゼ級まで実り、大成功した)が合流し、残りの収穫を皆で行った。

昨年同様に、収穫後には、すべてのトラクター、連結台車、運搬車が、装飾され、そして、ブドウの葉で作られたリングを皆、頭にかぶった。私たちは、警笛を高らかに鳴らして蔵へと向かった。蔵では、ゼクトで乾杯し、豊作に感謝し、記念撮影をした。

総論

今年の収穫は、今年のブドウの成長と同じく、並外れた経過を示した。過去にない、最も早い8月の収穫の開始。それは、ゼクト用ブドウの収穫から始まった。今年のブドウの熟成の進行は、信じられない速度で進んだ。私たちは、それについていくのが大変だった。後半は、乾燥に悩まされた。もう少し雨が降ってくれていたなら、ブドウの成長と熟成がもっと穏やかであっただろう。そして、すべてがスムーズに、終わることができただろう。

今年、私たちは、23,3haを摘み取った。若樹のブドウ畑(0,65ha)と、夏に接木をしたブドウ畑(0,45ha)では、ブドウが成らなかった。

2 年続いた不作の後に、私達は今年、豊作を得た。目標とした貴腐ワインのレベルまで、すべての等級の収穫が出来た。

素晴らしい気候のおかげで、収穫には、さほどの不安はなかった。しかし、早すぎる収穫は、厳禁である。未熟で、味のない、そして、寿命の短いワインになってしまうから。記憶に残る暑い2003年産のワインのように、強いアルコールの、重いワインにならないように憂慮した。

長く続く乾燥した天候の下、個々の畑のブドウは、一体いつパーフェクトに熟し、摘み取れるかを、簡単に見極められなかった。今年は特に、ブドウの樹齢と畑の土質によって、熟成に大きな違いがあった。もし、畑のブドウのサンプル検査をしなければ、きっとパーフェクトな結果を得られなかっただろう。1サンプルあたり、100粒のブドウを採り、全体でおよそ400のサンプル検査を行った。ブドウを集め、潰し、エクスレ度、酸の量を調べる作業。今年は、最大でも2エクスレの誤差しか出ないほどに正確だった。それぞれの作業の決断の際の、理想的な基盤となった!

6週間以上にわたり記された、28日間の収穫日誌は、私にとり必要なものであった。例年になく暖かく乾いた年に、それぞれのブドウ品種を、異なる条件に合わせて、うまく熟させることが出来たからである。ブルグンダー品種、ソービニヨンブラン、ゲヴュルツトラミナー、ジルバーナ、そして、ムスカテラーは、今年、リースリングより遥かに早く熟した。80エクスレという指標となる熟度に、そんなに時間を要しなかった。しかし、GG用のリースリングにおいては、完熟までに多くの我慢と気遣いを必要とした。待つということは、いつも容易ではない。他の蔵が、摘み取りを開始していると不安になるし、遅らせた判断が、正しいかどうか、良い結果を生むかどうかが、その時点では分からないからだ。

今年購入した、ゼクト用ワインのブドウの収穫に使った、ブドウを入れる箱は、役に立った。ブドウを完全に傷つけることなく、輸送することが出来た。結果的に、ワインに苦味成分を減らすことが出来た。来年は、シュペートブルグンダーの摘み取りにも使おうと思う。同じく、新しい籠式プレス機も、すばらしい成果を得た。将来的には、赤ワインを搾るだけでなく、ゼクト用ワインにも、高級ワインをプレスするためにも、使っていこうと考えている。籠式プレス機で、丁寧に搾ることによって、澄んだジュースを得ることが出来る。とても良い投資だった!

また、収穫班、発酵班で作られる私たちのチームは、それぞれの適正、多くの努力、健全な野心、溢れる好奇心、確かな専門知識、豊富な経験、多くの新しい提案を携えながら、家族の一員として働いてくれた。何より、すばらしい「チーム魂」で、家業に貢献した。2018年の偉大なる成功に、このパーフェクトなチームあり!


作;Hansjörg Rebholz (2018) 訳;Yoko Yoshimoto


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