• Yoko Yoshimoto

「天然コルクの8つの誤解〜天然のコルク栓は、無くなるのか?」

最終更新: 4月17日



この程、ドイツとポルトガルのコルク業界が、「天然コルクの8つの誤解」というタイトルで、広告を出した。これを機に私は、天然コルクについて、反対でも賛成でもない、中立の立場で記してみようと思う。

人間にも長所と短所があるように、コルクの優劣にも、さまざまに意見が分かれる。天然コルクを崇拝するものもいれば、スクリューキャップの方が、ほっとする人もいる。そこには、美的センスを求める向きと、利便性を重要視する向きとがある。また、コルク抜きの儀式をあきらめられない人も少なくない。しかし、大方の人は、それは、およそどうでもいい。そこで、プラスティックコルクや、圧搾コルク(コルク製品の残りクズを固めたもの)を、天然コルクの代用として作る者が現れた。ほんの少し前まで、イタリア人は、ワインの栓が天然コルクでないことを、容認できなかった。一方、ニュージーランドの醸造家達は、スクリューキャップを支持する者がほとんどだ。

需要に迫られて、天然コルクに代わるワイン栓が作られることに対して、大半の人々は反論しない。ここ数十年で、ワインの消費量は増加した。ところが、当然ではあるが、天然コルクの生産量には限度がある。コルクの木は、コルクを取るまで育つのに、およそ20年かかるからだ。だから、コルクメーカーは、他の素材でコルクを生産せざるを得ない。

代用コルクの種類は、多くある。圧搾コルク、プラスティックコルク、ガラスコルク、そして、スクリューキャップ。圧搾コルクは、素材がコルクだから、天然コルク同様に、ワインにコルク臭が付く可能性がある。プラスティックコルクは、製造過程で可塑剤を使用するが、それがワインに溶け込むことは全くない。ガラスコルクは、シリコンリングと一体となって、ガラスの栓でワインを密閉する。少々コストは掛かるが、見かけがおしゃれ。しかし、長期熟成が保証されるかは、はっきりしていない。スクリューキャップは、現在、低コストで、ベストなワインの栓として、急速に普及してきている。さて、本題に入ろう。

天然コルクの8つの誤解

1, 天然コルクを作る際、コルクの木が切り倒される。

当然、間違い。コルクの木の表皮を、9〜12年ごとに剥いで、それを原料にして、コルクは作られる。当然、自然の産物といえる。しかし、それは、有限の天然資源であることを、忘れてはならない。

2, 将来、コルクの木は、無くなってしまう。

それも間違い。コルクの木の栽培面積は、毎年増えている。しかし、新しい木が、最初にコルクを取るためには、20年の歳月が必要だし、1度表皮を剥がせば、少なくとも、次のコルクを取るまで、10年は待たなくてはならない。急いでコルクの木を植えたにしても、すぐに利用できるわけではない。

3, 天然コルクは、コルク臭の元である。

「はい」とも言えるし、「いいえ」とも言える。驚くことに、天然コルク以外の栓から、コルク臭が出たとの報告が、毎年ある。そのことから、コルク臭の原因が、コルク以外の要因であるということが疑われた。その原因は、コルクを洗うために使われた、塩素系の洗剤であることが分かってきた。その塩素系成分と、カビの菌が反応した時に、トリクロロアニソールという成分が生じ、それがコルク臭として、人に感じられる。よって、天然コルクでなくとも、蔵で塩素系洗剤を使っていれば、コルク臭が生じる可能性がある。最近では、その成分の洗剤を使わない蔵が出てきている。コルクメーカーもまた、コルク臭をなくすための研究・努力を、日々続けている。

4, 天然コルクのワインは、寝かして保存しなければならない。

今日、その定義は、必ずしも正しくはない。天然コルクにとって大敵は、温度差である。それによって、コルクの形が変形し、コルクと瓶の間に隙間ができる。本来ならば、すべてのワインは立てて保存されるべき。ワインとコルクが接触しなければ、コルク臭も付かない。要は、長期保存を求めるワインであれば、常に、気温変動に気を使うべき。

※この意見については、異論が多数あります。たとえば、伝統的な蔵元が持つ、天然の地下セラー(気温が年中8度ほどで、湿度も100%に近い条件)の中であれば、立てて保存しても可能であるかもしれません。しかし、一般消費者のご自宅の場合、寝かして保存した方が無難であると思います。プラスティックコルクや、スクリューキャップのワインは、寝かせる必要はありません。

5, 天然コルク以外のワインの栓では、ワインは熟成しない。

これも、また間違い。天然コルクは、空気を通しながら、ワインの熟成に関わることは確か。その特性は、特に赤ワインの場合に大切だ。しかし、その他のコルクの場合も、ワインは熟成する。が、その速度は、ゆっくりである。熟成のための空気量は、ワインとワイン栓の間に入っている空気の量で充分である。よって、長期熟成タイプのワインでも、スクリューキャップは可である。ただし、天然コルクよりも、ゆっくりと熟成し、最善の飲み頃を、先に伸ばす。

6, 天然コルクの価格は、高い。

天然コルクの価格は、10セント〜80セント。例えば、ディスカンウンターで、1,99ユーロで売られているワインに対して、80セントの天然コルクを使うのはどうかと思う。それが、59,90ユーロのワインであれば、納得がいく。ただ、どちらのワインにしても、スクリューキャップならば、安く、機能も優れている。むしろ、価格の安い天然コルクを使っている方が、消費者に不信が募るだろう。高価なワインの場合、いくらのコルクが使われているかが、消費者は知りたくなるだろう。

7, コルクの種類は、キャップシール(ワインの口を覆っているカバー)で、見分けられる。

必ずしも、決まりはない。また、さほど重要なことでもない。

8, 天然コルクは、捨てられるだけのもの。

いいえ、天然コルクは、リサイクルされる。例えば、回収されて、建築資材などに、加工されたりする。天然コルクを、環境保護の見地から考えれば、リサイクルは当然のこと。皮を剥いでからの生産工程よりも、資源保護を優先させるべきである。

天然コルクに関して、まだ多くの勘違いはある。しかし将来、天然コルクが使われなくなる理由は見当たらない。その他の代替コルクは、それぞれの理由があって、存在している。例えば、美的センス、価格、資源保護などの見地から。私にとって、それぞれのワインの栓が、いいか、悪いかについては、さほど重要ではない。これまでに、多くのワインの栓が開発され、消えていった。つまり、今存在しているワインの栓は、市場に認められていると言えるからである。

作;Stefan Forster (2014,7,1)  訳;Yoko Yoshimoto

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