• Yoko Yoshimoto

「介護士がメルケルを非難」

最終更新: 4月17日



・1人の若い看護士が、総選挙前の国民参加のTV討論会で、100万人の視聴者の前で、メルケル首相と討論をした。彼の名前は、アレキサンダー・ヨルデ。この勇気ある若者の意見が、一夜にして注目された。ヒルデスハイムで看護士として働くこの21歳の若者が、メルケル首相に向けて、現在の介護現場の状況が、いかに悲惨であるかを、生放送の限られた時間内に質問をぶつけ、人々に深く印象付けた。以下、その討論の内容を抜粋。

Alexander;私は今、看護士と介護士の研修を積んでいます。ドイツ基本法の第1条に、「人間の尊厳は、脅かされない」とあります。今、私はおよそ1年間、病院で研修生として働いています。しかし、そこでは、人間の尊厳というものが、毎日の様に傷つけられていると感じます。患者が長い時間、汚染されたオムツを変えられないまま、放置されている実態があります。その状況に、私はもうこれ以上耐えられません。それらの人々は、第二次大戦後、この国を立て直し、私たちに幸せを与えたくれた人々です。介護現場は、オーバーワークの状態です。あなたの政権は12年間、介護のことについては尽力していないと、私の目には映ります。ヘルパー1人当たりに、患者20人が、受け持たされている現場があります。夜には、ステーションによっては、40人の時もあります。全く不可能です。なぜ、法律で規制しないのか、この国ドイツに、出来ない訳がないと思います。


Merkel;最終的に、すべてに最高の満足を与えますと、私はここで公に約束できません。しかし今後、より多くの基準がそこに導入されるでしょう。そして私たちは、あなた方の業務を改善するための特別予算を充てる予定です。今後2年間、様子を見てください。いくらか改善の方向に向かっていきます。


A;それは全く機能していません。


M;なぜ、機能しないのでしょう?


A;政府は、どのように状況を考えているのでしょうか?2年以内に、介護職員が増えるとでも思っているのでしょうか?人材は、自然には湧いてこないのですよ。それに、外国人労働者だって、そう簡単には集まらないのが現状です。では、あなたに質問します。あなたは、どこを見ているのでしょう?ドイツでは、今10万人の介護職員が不足しています。今現在の介護職員の平均年齢が45歳です。その世代の人たちが、年金生活に入る頃には、100万人の要介護者が増えることになります。そうなると、病院や介護施設は大混乱です。


M;そこには大量の人員不足があります。そこに私は認識しなければならないですし、それを認めます。そして今、私たちは、始めなければなりません。必要とあれば、私たちは、ヨーロッパ近隣諸国から介護職員を募ります。しかし、その前に、私たちは、何より先に看護士や介護士を、魅力ある職業へと変えていかなくてはなりません。具体的には、賃金の上昇。まず私はそれが一番の課題だと考えています。

今回、我々取材班は、ヒルデスハイムに住む、アレキサンダー・ヨルデ君の家を訪ねました。彼は仕事に行く少し前に、自分でパスタを茹でていました。今日の勤務は、夜勤8時間。当然、空腹では持ちこたえられません。100万人の視聴者の前での、メルケル首相との討論は、彼を落胆させました。「首相にはがっかりです。私の質問に答えていないからです。彼女はいつもと同じ様に、抽象的な表現をしました。政府は、新生児集中治療室には、就労基準や定員数などの改善はしました。しかし、介護分野は、全く満たされていません。」


この21歳の若者の、メルケル首相に対する驚くべき批判。しかし、毎日自転車で5分のところにある、彼の病院の中の出来事に、政府は全く目を向けてくれません。「よく整えられた彼のステーションの中ですら、時々過酷な勤務を強いられる。例えば、コールが2人、3人と同時に鳴っても、1人ずつ対処するしかない。1人め、2人めと、訪室していき、でも3人めには、かなりの時間が経過している。起こることといえば、当然危険なこと。それは緊急事態に成りうる。その遅れが、何かが起きる可能性を引き起こす。ドイツでは、看護士1人当たり13人の患者を診ている。この数字は、他のヨーロッパ諸国の水準よりもはるかに多い。ここ数年の改善はわずか。この状況は、総じて異常である」と、ヨルデは語る。彼は、政府への政策に妥協をしません。彼は何が必要か、はっきりとした提案を持っているからです。「私たちは、絶対に今より改善された患者の介護が必要である。なぜなら、介護士は今より確実に減っていくから。私たちが今変えなければ、最終的に「人間の尊厳は侵されない」ということを保証が出来なくなる。それを守るために、国の義務はある。私は、看護士という仕事が好きだから」と、アレキサンダー・ヨルデは語った。

その後、ヨルデは、番組制作者のインターネットからの質問にも、答えてくれた。彼は、政治には興味はあるが、支持する政党を持たない。彼の政治への要求を、その言葉の節々に感じ取ることができる。「多くの人々は、介護士が毎日何をやり遂げているかを、全く知らない。介護の仕事は、他人が想像するよりも、頭脳的な仕事である。単なる体を洗うとか、介助をするとかではない。」彼は若いが、態度は控えめで、同僚のためにもよく尽くす。「昨日のようなチャンス(討論会)が、たった1度だけあった。」と彼は答えた。彼は21歳の歳にしては、しっかりとした考えを持っている。

医学関係者や開業医などは、もっと前から、彼の意見を知るべきであった。彼の母も介護士である。メルケル首相は、12年という、ヨルデの歳の半分よりも長く、彼が9歳の時から、政権の座に就いている訳であるが、この若者は、その権力者に堂々と非難を浴びせた。そこから、何か変わらなければならない。「介護士不足の状況は、偶然に起きた訳ではない」と、彼は言う。今後、彼は、介護士募集キャンペーンを通して、政治に訴えていく。「もし、誰も動かなければ、将来が危うい」と。


作;ROLLINGPLANET(2017,9,21) 訳;Yoko Yoshimoto


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