• Yoko Yoshimoto

「灌漑プロジェクト:フランケン地方のヴィンツァーの試み」

最終更新: 4月17日



・ドイツのワイン産地は、夏の少雨に悩まされている。特に、フランケン地方は、夏季の乾燥が激しい。ヴィンツァー達は、給水策を練る。そのノウハウは、他のワイン産地にも参考になるだろう。


・ゆっくりと水が、畑へと滴り落ちる。それは、ブドウの根を潤す。この灌漑システムは、点滴灌漑と呼ばれ、それ自体特別なものではない。水が、貯水槽から自動的に汲み出される仕組みである。


・フランケン地方のヴィンツァー達は、業界内で、この灌漑システムで先端を走る。フランケン地方ほど、夏季の高温と乾燥の激しいところはないからだ。キッツィンゲン村などは、ドイツで最も高温を記録した地でもある。気候変動は、農業環境を激変させた。


ブドウ樹は、1年間に500lの水を必要とする


「乾燥との戦いは、始まったばかり。」と、フランケン地方のブドウ栽培連盟会長のシュタインマン氏は語る。「私たちは、出来るだけブドウのための水を蓄えておきたい。それも、他の力を借りずに、ブドウ農家たちだけで。」と、シュタインマン氏は、フランケン地方の多くのブドウ農家たちの今の努力を説明する。

1年間に、およそ500lの水を、一本のブドウ樹は必要とする。大抵のブドウ樹は、地下12mまで伸びる長い根で、水を吸い上げることが出来る。しかし、ここ数年に起きた高温と乾燥で、ブドウ樹の力は限界にきている。ブドウ樹は、かなりの乾燥のストレスを受けている。


ヴィンツァーは、共同で灌漑システムを導入する


ヴィンツァーは、余分なブドウの実を摘み取ることで、残したブドウの品質を上げている。「灌漑をすることによって、異常に乾燥した夏でも、収穫量は安定する」と、農学者であり、灌漑の専門家でもある、ダニエル氏は言う。

具体的な村名で言えば、キッツィンゲン周辺のイプフォーフェン村、フォルカッハ村、ゾンマーアッハ村、そして、ヴュルツブルク周辺のゾンマーハウゼン村。それらの地域のヴィンツァーたちは、共同で灌漑システムを設備する。「それは、自治体と協力して、皆で行われるべき。資金力のある特定のヴィンツァーが、小さなヴィンツァーに、堀を作って水を供給するということはしたくない」と、シュタインマン会長は言う。


点滴灌漑は、水を節約する


フランケン地方の戦略はこうだ。冬の間に、雨と雪解け水、あるいは、マイン川からの水を貯めておく。そして、その水を貯水槽にポンプで汲み上げる。それを、高温で乾燥した夏に、1km以上の長さの配管を通して、夜間にブドウ畑に点滴灌漑させる。

私たちは、高価な灌漑システムに、お金を掛けられない

何れにしても、私たちの戦略はこれだけ。ブドウ樹は今、本当に限界にきている。「私たちは、高価な灌漑システムはいらない。また、それを備え付ける余裕は全くない。」と、ダニエル氏は語る。何より点滴灌漑は、水の節約になる。


灌漑システムの高いコスト


具体的には、フォルカッハ村での農業エンジニアのヴォルフガング氏が指導している、“ヴィナクア”と言うプロジェクトがある。それに、同じ地域の45人のヴィンツァーたちが参加している。雨水と雪解け水は、貯水槽に集められ、彼らの持つ100haのワイン畑に、水が供給される。更に、畑に常に雑草を生わせることにより、大雨の時でも、土の侵食を防ぐことができる。それはまた、畑の泥土化を止め、地下水の有害物質の増殖を防ぐことにつながる。

灌漑システムのコストは、莫大である。ヴォルフガング氏によると、設備によっては、1ha当たり8,000〜20,000ユーロ掛かる。設備の一部に、バイエルン州は、過去10年間に、100万ユーロ弱を支払った。貯水タンクと灌漑ホースの設置に、年間70万ユーロの予算が組まれている。


ブドウ栽培連盟は、州からの支援を期待する


フランケン地方のワイン畑のおよそ6分の1は、徐々に点滴灌漑による設備を採用している。その広さは、およそ1,000ha。「気候変動が起きても、ワインの生産性を安定させるためにも、長期に渡っても、すべてのワイン農家にそれらを、設置しなければならない。」と、ダニエル氏は語る。


来年、私たちは、灌漑設備に、2000〜3000万ユーロを投資する予定と、シュタインマン会長


フランケンのブドウ栽培連盟は、州からの支援を望んでいる。「来年、私たちは、灌漑設備に、2000〜3000万ユーロを投資する予定」と、シュタインマン会長は言う。省庁の報告によると、ワイン観光に、年間およそ320億ユーロのお金が落ちる。フランケン地方にとっても、大切な観光収入である。


フランケン地方のプロジェクトは、他のワイン産地の手本になる


ここ数年の夏季の高温の状況に、他の地方のヴィンツァーたちは、このフランケン地方のプロジェクトに興味を示している。例えば、ラインヘッセン地方、ファルツ地方、そして、モーゼル地方だ。それらの地方は、今のところ、灌漑はしていない。しかし、このバイエルン州北部の試験的プロジェクトは、気候変動の視点から、彼らにとって緊急の重要性を持つだろう。


ブドウ栽培連盟の専門家チームは、ブドウ樹の乾燥ストレスに対する、更なる戦略を研究している。例えば、ブドウの葉の表面に、松の油を噴霧したり、ある程度の葉を取り除いたりする実験している。それにより、ブドウ樹から水分の気化が減り、完熟までの期間が延びる。結果、ワインに多くのアロマが凝縮される。


作;Christiane Bosch(2018,7,30) 訳;Yoko Yoshimoto

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