- Yoko Yoshimoto
「ピノ・マドレーヌ」
最終更新: 2020年11月13日

へ!?ピノ・マドレーヌ?
このブドウ品種は、ある意味、醸造家の一つの挑戦である。その親戚であるピノ・ノアールよりも、2週間ほど収穫が早い。大体9月初めか、中頃か。そして、そのブドウは、鳥たちにとても喜ばれる。その時期は、鳥たちにとって食物の選択肢が少ないからである。困ったことに、ピノ・マドレーヌの生産者たちはこの時期、斜面でホシムクドリやツグミたちと立ち向かわなければならない。
時として面白い、ピノ・ノアールよりも
“それが品質の良いピノ・マドレーヌであれば、私は数多のピノ・ノアールより、その1本のピノ・マドレーヌの方がありがたい。それに、何より面白い。”
慣例通り、この赤ワインの色合いは、さほど強くない。最初の一口は、やわらかく、そして滑らかに口の中に滑り込む、、、控えめな酸味に、軽く流れのあるタンニン、柔らかい薬味的な木樽の香り、それに、ハーブや、くるみのニュアンス。そして、繊細な香りのバラエティー。例えば、スミレのラクリッツ、熟れたさくらんぼ、木苺、にわか雨の前の埃っぽい農作地、そして、純良なカカオや、あるいは、安物でない純粋なチョコレートからの甘苦いトーン。

ヴィンテージ 2012
品種 ピノ・マドレーヌ
アルコール 12,5%
酸 4,0g/l
残糖 0,2g/l
飲用温度 15-17℃
価格 時 価
ドイツの焼き菓子に入る、
干したベリーのニュアン
ス。それと、シナモンや、
バニラなど、甘いスパイ
ス。ドイツの台所のスパ
イスの戸棚を開けた時、
こんな香りがする。
作&訳;Yoko Yoshimoto 参考文献;Captein Cork
※補足
ピノ・マドレーヌ、この聞き慣れないブドウ品種は、ピノ・ノアールが突然変異したものである(ドイツ名;フリューブルグンダー)。見かけはほとんど一緒だが、ピノ・ノアールよりも2週間ほど、収穫時期が早い。濃い紫色の実は、ピノ・ノアールと比べて小さく、皮が厚くコンパクトである。ブドウの味わいは皮の部分にあるので、この小さな粒のブドウは、多くの味わいが凝縮している。ゆえに、ピノ・ノアールより味わいが濃く、長期熟成可能なワインになる。通常でも10年、バリックで熟成したものは、10年以上かけて熟成できる素晴らしい可能性を持つ。
ピノ・マドレーヌは、1960年にドイツで絶滅しかけたブドウ。一時期、その栽培面積は、ドイツでたったの15haにまで落ち込んだ。ガイゼンハイムのブドウ研究機関が、このブドウのポテンシャルに気がつき、病気に強いクローンの選別をして、現在は栽培面積が250haまで復活している。ドイツのスローフード協会は、このピノ・マドレーヌを、後世に残すべき伝統的な食材としてリストに載せている。ドイツでは主にレストランで使用され、料理と新しく組み合わせながら、シェフや顧客に試されている。