• Yoko Yoshimoto

「カルミットが特級畑に認定」



2000年来、ドイツでは、新しく畑のランク付けが行われ、品質を選ぶ指標の1つとなっています。今回、ファルツ地方に「カルミット(Kalmit)」という新しい特級畑が生まれました。その大きな理由としては、周辺の他の畑と異なる微気候と地質が指摘されたからです。特級畑に認定されるには、そこの畑から出来たワインを、最低5年間のヴィンテージの試飲を行い、熟成のポテンシャルを確かめる必要があります。「カルミット」は、それに合格し、正式に特級畑となりました。

「カルミット」とは、自然公園でもあるファルツの森の東にそびえる標高271mの丘で、イルベスハイム村(Ilbesheim)に属します。そこは、珍しい動植物の宝庫であり、オキナグサが自生していることで有名です。その他、87種のクモや、43種の蝶なども生息する自然保護区になっています。

地理的な歴史は、数百万年前まで遡ります。アルプスの地質変動により、ライン地溝帯が形成されました。その際に、地表の裂け目から漏れ出た溶岩から玄武岩が生成され、その後の数百万年は、徐々に湿潤気候へと変化していきました。やがて、テチス海(古地中海)の海水が、現在のファルツ地域にまで流れ込み、藻の群生が発生し、それが後に石灰岩となり、粘土と砂の堆積物と共に数百万年かけて固まり、再び地殻変動により、カルミットの丘陵地帯に突き出ました。

ブドウ畑としては、標高およそ250mから240mにかけて下る、南向きの傾斜角10〜20度の緩やかな斜面で、総面積112haの大きめな単独畑です。主な土壌成分は、貝殻石灰岩、泥灰岩、黄土、粘土で、薄い腐植土に覆われています。豊富な日照量が、一帯の空気を温め、夜間には、ファルツの森から吹き下ろす西風によって、空気が入れ替わり、冷やされます。それにより、ブドウの香りの生成する時間やミネラルを取り込む時間が長くなり、味のあるワインが出来るのです。特級畑の認定ブドウ品種は、リースリング、ヴァイスブルグンダー、ピノ・ノアールです。


【参考】

ファルツ地域におけるグローセ・ゲヴェックセ(GROSSE GEWÄCHSE)について

グローセ・ゲヴェックセ(GROSSE GEWÄCHSE;以下GG)とは、VDP(※下記参照)に属する蔵元が造る、最高ランクのワインのこと。厳密に言えば、特級畑(グローセ・ラーゲ;Große Lage )から産出する辛口ワインのこと。それは、VDPの最高の等級の称号である。その称号が認められるまで、そのワインは、厳格な基準を満たさなければならない。そして、それは既に、ブドウ畑の段階から始まっている。

※VDP…ドイツ高級ワイン生産者連盟。およそ200の蔵が、厳正な審査の下で承認されている。

畑の評価

ポテンシャルを持つ全ての畑は、ファルツ地域のVDPの規則の元で、審査されランク付された。特に、バイエルン王国時代の1828〜1837年の土地の評価が基準となった。当時から既に、例えば、「Ungeheuer(ウンゲフォイアー)」、「Kirchenstück(キルヒェンストゥック)」、「Pechstein(ペヒシュタイン)」などの土質は、高く評価されていた。そして、それは、今日まで認められている。現在、ファルツ地域では、50以上の畑が、VDPの特級畑として認められている。その畑は、正しく区画されていて、耕作地として承認されている。

特級畑として認められるには

特級畑には、最高のワインを生む、理想的な生育条件が整っていなければならない。それも、永続的にブドウがよく熟すという条件が必要である。よって、VDPの特級畑として新しく認定される場合、その永続性が証明されなければならない。まず、その畑の地理、地誌、歴史の面から審査される。次に毎年、最低でも5年間は、その畑からのワインを試飲し、その畑のブドウの熟すポテンシャルが、安定しているかどうかを審査する。

ファルツ地域では、リースリング、ヴァイスブルグンダー、そして、ピノ・ノアールの、3つのぶどう品種が、特級畑として認められる。そして、各蔵は、その特級畑に一ブドウ品種ごとに、一つのGGが造られる。

生育段階での決まり

ブドウが成長する全期間、特に摘み取りの前には、高品質のワインに仕上げるために欠かせない、収穫量のコントロールがされる。ファルツ地域には、収量を抑えるための剪定のアドバイスなどを行う機関がある。特級畑の収穫量は、50hl/ha以下に抑えなくてはならない。また、ブドウは、手で摘み取られなければならない。

品質維持のための官能検査

ワインは、伝統的な生産方法によって造られる。白ワインの際の補糖は禁止されている。ワインがほぼ完成した時点で、官能検査を行う。秋から販売される全てのGGが、2回の官能検査を受ける。始めに、樽からの試飲。それは、樽から直接ワインを取り、6人の検査官が、ワインを評点する。それに合格すれば、全てのワインが瓶に詰められる。続いて、瓶からの試飲。それは、目隠しで検査される。瓶は覆われて、番号がふられる。そして、収穫年とぶどう品種についての情報だけが、試験官に知らされる。評価基準は、濁りがないか、欠陥がないか、その年とその品種にふさわしい品質かどうか。ワインは、試験官たちが味を見て、議論し、評価される。もし、そのワインの劣化が認められた場合、もう一本の予備のワインを開けて、先の一本が、たまたま不良品であったかどうかを確かめる。試験の結果は、ファルツ地域のVDP機関から蔵元に文書で送られる。17年間、ファルツ地域では、この方法でGGの認定が行われている。ファルツ地域のVDP機関は、ワインの品質水準だけでなく、蔵元の経営状況を監視しながら、常に新しい目標を設定し、地方のワインの信頼の維持に努めている。

最高の辛口ワインの証

VDPの特級畑の辛口ワインは、「VDP.GROSSES GEWÄCHS」と表記される。瓶の肩には、「GGのロゴと、ブドウのマーク」が刻まれている。その他、蔵元の名前とぶどう品種、畑名が、ラベル、あるいは、瓶首のカプセルに表示される。

GGの白ワインは、熟成の後、収穫の翌年の9月1日に市場に出る。赤ワインの場合、更に長い熟成期間を設け、収穫後2年目の9月1日に市場に出る。そのうち、最低でも12ケ月は樽で熟成されなければならない。品質を更に上げるために、その蔵元の判断により、2年以上かけて市場に出される場合もある。

参照;Wikipedia, Magagin VDP.WEINCLUB(2020)  訳;Yoko Yoshimoto

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